車軸しゃじく)” の例文
車軸しゃじくを流すという形容もおろか、馬も流され人も漂い、軍器も食糧もみな水漬みずついてしまう。いや仮屋もたちまち水中に没し、山の上へ上へと移って行った。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、車軸しゃじくを流すような豪雨も、小石を吹きとばす強風も、洞のなかではさほどおそろしいことではない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
深い饅頭笠まんじゅうがさ雨合羽あまがっぱを着た車夫の声が、車軸しゃじくを流す雨の響きの中に消えたかと思うと、男はいきなり私の後へ廻って、羽二重はぶたえの布を素早く私の両眼の上へ二た廻り程巻きつけて
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
もうその時は車軸しゃじくを流す真物の土砂降りになっていた。
と思うまもなく、車軸しゃじくを流すような豪雨ごううとなった。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)