蹈鞴たたら)” の例文
要するに涅歯を魔除まよけとする南島一般の思想に、鍛冶屋は来たり参与しているのである。槖籥とは吹子ふいごすなわち蹈鞴たたらの道具である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
蹈鞴たたらのように狭い峡間を吹き上げて来る、其度毎に烟のような雲がムーッと舞いあがる後から、日光がキラリと映した時には、うそれは雪ではなかった
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
「宰部氏といふ者、狩山に来り之を見て、如何なる神ぞと問ひ奉りしに、神託して曰く、吾は金屋子神なり、此所に宮居し蹈鞴たたらを立て鉄吹術を始むべし、と宣玉ひ」
出雲鉄と安来節 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
その炭で砂鉄を蹈鞴たたらにかけて地金をも作ったものであったに相違ない。
蹈鞴たたらしこふむいきほひに、をちの砂山崩れたり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
当初蹈鞴たたらを取り扱いし種族は普通の農民より智巧の優越せる外来人で、需要に応じ天下を歴巡へめぐっていた者らしく、地中においてその技術を行うの風があったため
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)