踉蹌よろめ)” の例文
われ眼を閉ぢ耳をおほひ、心に聖母を念じて、又まぶたを開けば、怖るべき夫人の身は踉蹌よろめきてしりへたふれんとす。そのさま火焔の羽衣を燒くかとぞ見えし。
新ばしのたもとに夜あかしの車夫が、寝の足らぬ眼をこすりつ驚くばかりの大欠おおあくびして身を起せば、乞食か立ん坊かと見ゆる風体ふうてい怪しの男が、酔えるように踉蹌よろめき来りて
銀座の朝 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
お源はこれ等の問答を聞きながら、歯を喰いしばって、踉蹌よろめいて木戸の外に出た。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
巡査はいよいよれて、力一ぱいに強くくと、彼女かれ流石さすが二足ふたあしばかり踉蹌よろめいた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)