赤面あかづら)” の例文
ひげだらけの獰猛どうもう赤面あかづらを仰ぎながら、厳格、森儼を極めた新任の訓示を聞いているうちにも、そのブルブルが一層烈しくなって
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人さんからは、この赤面あかづらのため、赤馬だの赤髪鬼せきはつきなどとアダ名されております。どうか今後とも、お見知りおきのほどを
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巨人ハルク、その後に水夫竹見、そのまた後に、ノーマ号のあらくれ船員どもがずらりと、一くせ二くせもある赤面あかづらが並んで、前へおしだしてくる。
火薬船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
或る時は酔っぱらいの赤面あかづらとなり、或る時は死人の様に青ざめ、或る時は黄疸病おうだんやみの物凄い形相を示し、又ある時は真暗闇の中の声のみとなり、それが奇怪なる物語の内容と入れ混って
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
独逸ドイツの人は男も女も牛の様に大きくふとつて一般に赤面あかづらをして居る。巴里パリイ倫敦ロンドンでは自分達と同じ背丈の、小作こづくりな、きやしやな人間の方が多いのに、此処ここではどの男もどの女も仰いで見ねばならない。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
興世王は、もう赤面あかづら舞楽面ぶがくめんみたいになって、しきりに、泰平を謳歌していた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)