赤手拭あかてぬぐい)” の例文
汽車にでも乗って出懸でかけようと、例の赤手拭あかてぬぐいをぶら下げて停車場ていしゃばまで来ると二三分前に発車したばかりで、少々待たなければならぬ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見越みこし、河太郎、かわうそに、海坊主、天守におさかべ、化猫は赤手拭あかてぬぐい篠田しのだくずの葉、野干平やかんべい、古狸の腹鼓はらつづみ、ポコポン、ポコポン、コリャ、ポンポコポン、笛に雨を呼び、酒買小僧、鉄漿着女かねつけおんな
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
二時間目にもきっと何かあると思うと遊廓の団子旨い旨いと書いてある。あきれ返った奴等だ。団子がそれで済んだと思ったら今度は赤手拭あかてぬぐいと云うのが評判になった。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかしあの中にかいた温泉なんかはあったし、赤手拭あかてぬぐいをさげてあるいたことも事実だ。
僕の昔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その玉子を四つずつ左右のたもとへ入れて、例の赤手拭あかてぬぐいかたへ乗せて、懐手ふところでをしながら、枡屋ますや楷子段はしごだんを登って山嵐の座敷ざしきの障子をあけると、おい有望有望と韋駄天いだてんのような顔は急に活気をていした。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)