賦税ふぜい)” の例文
政治は力を用いるよりも智を用いるを主とし、法制よりも経済を重んじ、会計録というものを撰してたてまつり、賦税ふぜい戸口ここうの準を為さんことを欲したという。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いま田宅を彼らに返し、業を励ませば、たちまち賦税ふぜいも軽しとし、国のために、いや国のためとも思わず、ただ孜々ししとして稼ぎ働くことを無上の安楽といたしましょう。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ世の中に生れて来た賦税ふぜいとして、時々交際のために涙を流して見たり、気の毒な顔を作って見せたりするばかりである。云わばごまかしせい表情で、実を云うと大分だいぶ骨が折れる芸術である。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
じいの身も、ここ十年の余、今川家の一役人に異ならず、賦税ふぜいの取り立てを役目として、牛馬のような勤めをいたしておりますが、年来、忍び忍び心がけて、おくらの内には
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)