貧窶ひんく)” の例文
われは此詞を聞きて、向ひの壁を仰ぎ看しに、一面の大畫幅あり。わくを飾れる黄金の光の、燦然さんぜんとして四邊あたりを射るさま、室内貧窶ひんくの摸樣と、全く相反せり。
女王は身の丈甚だ高からず、おもての輪廓鋭くして、黒き目は稍〻おちいりたり。衣裳つきはいと惡し。無遠慮に評せば、擬人せる貧窶ひんく妃嬪ひひん裝束さうぞくしたるとやいふべき。
シチリアの自然、その豐饒ほうねうの一面と荒蕪の一面とはこゝにあり。シチリアの希臘古祠はこゝにあり。而してシチリアの貧窶ひんくもまたこゝにあり。一行のめぐりには一群の乞丐かたゐ來り集ひたり。