豪毅ごうき)” の例文
あくまで豪毅ごうき、あくまで沈着、さながら春光影裡しゅんこうえいり斑鳩いかるがの里を逍遥しょうようし給う聖徳太子のおもかげしのばれんばかりであった。
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
いったい堺そだちの商業人は、荒胆あらぎもの戦国武将たちをも、そう眼中にはかないくらいな独自の豪毅ごうきを持っている。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一夜の遊女にたわむれるなぞというのではなく、軽率な感傷に豪毅ごうきな精神を忘れたあげく、いっそあの女とこの土地に土着してしまったら痴呆ちほうのように安楽であろうと考えるのだ。
流浪の追憶 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
私の帆船が彼の島を立去る時、豪毅ごうき朴直な此の独裁者は、殆ど涙を浮かべて、「彼を少しも欺さなかった」私の為に、訣別けつべつの歌をうたった。彼は其の島で唯一人の吟遊詩人でもあったのだから。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
「九郎か。その後は侍勤めにも馴れたか。奥州みちのくとは事ちがい、坂東武者はみな気があらい。豪毅ごうき勇壮で目ざましかろうが。——そちも人々におくれをとるなよ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろ従来のどの将軍家よりも厳格で豪毅ごうき一点張りのごとく臨んでいるが——どうかすると、たった二人きりの、例の吹上の庭などで、ふと思い出ばなしが出ると
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おそらくは、その寛達かんたつ豪毅ごうきな平常と教養からおしても
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)