へつ)” の例文
人は呼ばぬに来りてへつらひ、我は好まぬ夫人交際おくさまつきあい、それにも上坐を譲られて、今尾の奥様とぞ、囃し立てらるる。これがそも人生の不幸かや。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
もとより身は黄門こうもんの高貴にあるし、剛愎ごうふくな性情なので、ひとに屈したりへつらうことなど知りそうもないが、若い者たちの心をよく酌んで、稀に
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが誤解するなかれ、著者は民衆にへつらうところの民衆主義者でなく、逆に彼等を罵倒ばとうし、軽蔑するところの民衆主義者だ。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
へつらい武士の洞院左膳を総大将にして向かわせたはいいが、先月初めの合戦で鳥居峠は敵に奪われ、士気の沮喪そそうしたそのおりから、御嶽冠者みたけかじゃの軍勢が山砦さんさいから驀地まっしぐらに下だって来て、上中沢、下中沢
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
治郎左衛門は、敢えて、へつらわなかった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)