誰袖たがそで)” の例文
「男は京橋花園小路、糸屋六兵衛伜源七という書置がごぜえます。女は吉原三ツ扇屋の花魁誰袖たがそでというんだそうでごぜえますよ」
「飛んだ買ひかぶられた誰袖たがそで華魁が可哀想さ。尤も、自分で儲けた金なら、どんな浮氣をしても構はないと思つて居る、主人貫三郎も氣の毒だが」
出して見たいことがあるんだ。てめえ一つ働いてくれ。江戸ちょうに辰伊勢という女郎屋があるだろう。あすこの誰袖たがそでという女のことを少し洗って貰いてえんだ
半七捕物帳:09 春の雪解 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
と云うのは、十歳の折乳母に死に別れてからは、時偶ときたまこの寮に送られて来る娘はあっても、少し経つと店に突き出されて、仙州せんしゅう誰袖たがそで東路あずまじなどと、名前さえも変ってしまう。
絶景万国博覧会 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「見れば桔梗ききょう様に誰袖たがそで様、白萩様のお三人、庭先などに引き据えて何をなされたのでございます。ああ解かりました解かりました。さてはいつものご折檻せっかんを今夜もなされたのでございますな」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
これは五百と同じく藤堂家に仕えて、中老になっていた人である。五百は久しく消息の絶えていたこの女と話がしたいといって、ほど近い横町よこちょうにある料理屋誰袖たがそでに案内した。成善も跡に附いて往った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「中屋貫三郎の請出した誰袖たがそで華魁なんかは豪勢ですぜ、千兩箱を杉なりに積んで請け出し、廓内なかから馬喰町四丁目まで、八文字を踏んで乘込んだ」
男。京橋花園小路、糸屋六兵衛せがれ、源七。女。新吉原京町三ツ扇屋抱え遊女、誰袖たがそで。十両は死体を
誰袖たがそでさんという花魁でございます。二十一二の勤め盛りで、凄いようない女だそうでございますが、去年の霜月頃から用事をつけて、あの寮へ出養生に来ているんでございますよ」
半七捕物帳:09 春の雪解 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「よしよし桔梗はこれだけとして、さてその次は誰袖たがそでの番じゃ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「御前様へ。吉原三ツ扇屋抱え、誰袖たがそで