角行燈かくあんどん)” の例文
新字:角行灯
日記の手入すみたるが馬鹿に嬉しきなり。母は余が枕元に背の低き角行燈かくあんどんをともし置き、坐敷の方の硯箱、原稿など片づけて寐に就く。
明治卅三年十月十五日記事 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
弁信の坐っている後ろには、六枚屏風びょうぶすすけたのがあって、その左に角行燈かくあんどんがありますけれど、それには火が入っておりません。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と半蔵はひとり言って見て、枕もとの角行燈かくあんどんのかげにちょっと妻の寝顔をのぞいた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
中に荒縄の太いので、笈摺おいずりめかいて、ともした角行燈かくあんどんになったのは天狗である。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その家の戸口には、角行燈かくあんどんがかかってあり御貸座敷と記してあった。
めでたき風景 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
弁信のためには必要ではないが、部屋の調度の均整のためには、ぜひなくてはならない、例の角行燈かくあんどんのほくち箱の中から出て来たものがあります。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
朱塗りの角行燈かくあんどんの下で、筆を走らせては、また引止め、そうして時々は泣いている。そこへ前の
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
口をあいてそれを見送っていたピグミーは、存外あせらず、例の角行燈かくあんどんの前に小さい膝をドカリと組んで、油差の油をゴクリと飲み、小憎らしい落着きを弁信の方に見せ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
やはり角行燈かくあんどんの一基が、炬燵こたつ彼方かなたに物わびしく控えていて、何か話しかければ物を言いたそうに、話しかけないでいれば、先方から物を言いたそうに、しょんぼりと控えていることであります。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)