“観者”の読み方と例文
読み方割合
かんじゃ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こういう風に言って見ると、結局東洋画の真髄は観者かんじゃを共同製作者とするにあるという昔からの言いふるされた言葉を、妙な理窟で解説しただけのことだといわれるかも知れない。
南画を描く話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
まさに富田流の鉄甲摧破てっこうくだき、受ければ受けた木剣は粉となって飛びそう、あっ——と思わず観者かんじゃの声が上ずる——その時、スッと新九郎の体がかわった。自斎の木剣がブンと耳を掠った。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十分じゅうぶんで事足るべきを、十二分じゅうにぶんにも、十五分じゅうごぶんにも、どこまでも進んで、ひたすらに、裸体であるぞと云う感じを強く描出びょうしゅつしようとする。技巧がこの極端に達したる時、人はその観者かんじゃうるをろうとする。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)