したおび)” の例文
彼はあわてず騒がず悠々と芝生を歩んで、甕の傍に立つ。まず眼鏡めがねをとって、ドウダンの枝にのせる。次ぎにしたおびをとって、春モミジの枝にかける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
祖母は、有難い御僧おんそうに、したおびの布施をする時は、高僧から下足のおじいさんにまで、おなじように二締ふたしめずつやった。祖母は別段、和讃歌もお経も覚えようとしなかった。
大作は、したおびを新らしくし、下着を取替えて、いつでも、召捕られる用意をしていた。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
麦酒ビールなら水だから召上るだろうとか、白足袋を差上げようとか、したおびにおこまりだろうとか——すると、番僧が大火鉢で、ひじまで赤いたこをこしらえて、ガンばってあたりながら、拙僧わしにもくれよとか