衿首えりくび)” の例文
どんなに困難な道だったか、高く秀でた額から衿首えりくびまであぶら汗が流れていたし、草鞋わらじも足袋も襤褸屑ぼろくずのように擦り切れていた。
松風の門 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かっとなった資行判官は、つかつかと文覚に近寄ると衿首えりくびつかんで外へ突き出そうとした。
それはちょうど、毛虫の嫌いな者が衿首えりくびへ毛虫を入れられでもしたような、しんそこ肌が粟立あわだつという感じであった。
余の頭上にいなごをとまらせ、「ほれ見ろ、こうしてもこの人は怒らない」と組下の者共に云い、さらにがい蝗を余の衿首えりくびの中へ入れて、「こうしたって怒らない」と者共を振返り
百足ちがい (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そしてまもなく素足に草履をはいた甲斐が、衿首えりくびを手拭で拭きながらはいって来た。
「そうですね、……」彼は手拭で衿首えりくびをこすった
風流化物屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)