衛戍えいじゅ)” の例文
(火)福岡の衛戍えいじゅ病院は三十余年前に床の下に入れて置いた地雷火じらいかがこの頃思ひ出したやうに爆発して人を焼き殺したさうな。
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
衛戍えいじゅ病院へへえるとまもなく重態になった、軍医はもうだめだからって、隊では親元へ電報を打つと、島田のおふくろと妹が駆けつけて来た」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
二年兵になって暫らく衛戍えいじゅ病院で勤務して、それからシベリアへ派遣されたのであった。一緒に、敦賀から汽船に乗って来た同年兵は百人あまりだった。
雪のシベリア (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
ここに、第九師団衛戍えいじゅ病院の白い分院がある。——薬師寺、万松園まんしょうえん春日山かすがやまなどと共に、療養院は、山代の名勝に入っている。絵はがきがある。御覧なさい。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前は軍医、後は私、二台の車が前後して走るうちに、三宅坂上の陸軍衛戍えいじゅ病院の前に来かかった時、前の車夫は突然に梶棒を右へ向けた。軍医は病院の門に入るのである。
御堀端三題 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
傷痍軍人といっても、衛戍えいじゅ病院にいるのではないから、あの白い病衣を着ているわけではない。背に帯のついたスマートな大外套ガーズ・コートを着て、アッシュのステッキをついて歩いている。
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
オペラの開幕は八時だから今はまだその広い入口の敷石に衛戍えいじゅの兵士が派手な制服で退屈な立番の足を踏み代えているだけである。その前にすぐ地下鉄の出入口が客を呑み吐きしている。
オペラの辻 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「陸軍衛戍えいじゅ病院御用です」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
衛戍えいじゅ病院へへえるとまもなく重態になった、軍医はもうだめだからって、隊では親元へ電報を打つと、島田のおふくろと妹が駆けつけて来た」
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
前は軍医、あとは私、二台の車が前後して走るうちに、三宅坂上の陸軍衛戍えいじゅ病院の前に来かかった時、前の車夫は突然に梶棒かじぼうを右へ向けた。軍医は病院の門に入るのである。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)