行衣ぎょうい)” の例文
神前へのお初穂はつほ供米くまい、その他、着がえの清潔な行衣ぎょういなぞを持って、半蔵は勝重と一緒に里宮の方へ歩いた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
出目洞白でめどうはく仮面めんをたずねて、ここへさまよい来た相良さがら金吾は、夏も寒げな白木綿の旅の行衣ぎょういに、お蝶の濡れたそれと同じな松のしずくに身ぶるいを覚えていました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
純白の髪を肩へたれ、純白の行衣ぎょういを身にまとい、一尺ばかりの一本歯の下駄、そいつをはいた修験者で、かんのついた鉄杖てつじょうをつき、数間すうけんのかなたを人波を分け、悠々と歩いて行くのである。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
山のに月のあるのを幸いに、水垢離みずごりを執って来て、からだをきよめ終わると、あたたかくすがすがしい。着物も白、はかまも白の行衣ぎょういに着かえただけでも、なんとなく彼は厳粛な心を起こした。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
これこそ、修行中の行衣ぎょういであり、これ以上の必要を少しも感じないのであった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ホッとして行衣ぎょういの土を払いながら、そこの朽ち木の根へ腰をおろした男は、姿こそまったく変っておりますが、まことに日本左衛門の慧眼けいがんたとおり相良金吾その人に違いありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やみに目立ちやす行衣ぎょうい
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)