行々ゆくゆく)” の例文
真面目な人なら、此処らで自分の愚劣を悟る所だろうが、私は反て自惚うぬぼれて、此分で行けば行々ゆくゆくは日本の文壇を震駭しんがいさせる事も出来ようかと思った。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
おかみは行々ゆくゆく彼をかゝり子にする心算つもりであった。それから自身によく太々ふてぶてしい容子をした小娘こむすめのお銀を、おかみは実家近くの機屋はたやに年季奉公に入れた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
娘時代からの恋人で行々ゆくゆくはその人の妻となり楽しい家庭を作ろうものと堅く信じていたらしい。その恋人は他ならぬ庄八郎の実の弟の土屋主水昌季まさすえであった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
稽古けいこさせて行々ゆくゆくは家元の名前でも継がせて見たいと思っているのですが、どんなものでしょう。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
十二の年より十七まで明暮れ顔を合せるたび行々ゆくゆくはあの店の彼処あすこへ座つて、新聞見ながら商ひするのと思ふてもゐたれど、はからぬ人に縁の定まりて、親々の言ふ事なれば何の異存を入られやう
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私は行々ゆくゆくは大文豪になりたいが一生のねがいだから、おおいに人生に触れて主観の修養をしなければならん。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)