蝸牛まいまいつぶろ)” の例文
塩鮭しゃけは骨だけ別に焼いてかじった。干物は頭からみんなかじってしまうし、いなごや蝸牛まいまいつぶろを食べるのを教えたのもこの人だ。それが怒鳴った。
そこで胸を静めてじっと腹を落着けて考えるに、わしそばに居ては気を取られてよくあるめえ、直ぐにこれから仕事に出て、蝸牛まいまいつぶろの殻をあけるだ。しか、桟敷さじきは一日貸切だぜ。
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
村田——有名な化粧品問屋——の裏を歩くと、鬢附びんつけ油をにおいで臭く、そこにいる蝸牛まいまいつぶろもくさいと言った。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
しかも婦人おんなの前、蝸牛まいまいつぶろが城を明け渡したようで、口をくさえ、まして手足のあがきも出来ず、背中を円くして、ひざを合せて、縮かまると、婦人おんなは脱がした法衣ころもかたわらの枝へふわりとかけた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
でも、あたしにはあんまり必要がなかった。それよりも、お其の紹介で友達になった子たちが、自分のうちの裏庭でとった、蝸牛まいまいつぶろを焼いてたべさせたりするのを、気味がわるくてもよろこんだ。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)