蝋人形ろうにんぎょう)” の例文
「なあ、波越。なんだってこんな真夜半まよなか蝋人形ろうにんぎょう張番はりばんをさせるのだろう。羅門塔十郎らもんとうじゅうろうも時々、奇功にはやって、分らない指図をするぜ」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
無気味な粘土細工は蝋人形ろうにんぎょうのように色彩まである。そして、時々、無感動にうごめいている。あれはもう脅迫などではなさそうだ。
鎮魂歌 (新字新仮名) / 原民喜(著)
「私はまたちっとも存じませんで——」お米の頬には白粉おしろいの下から桃色の血がボッとしてきた。蝋人形ろうにんぎょうの冷たい顔にあかりえたようである。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「例の蝋人形ろうにんぎょうの飾ってある場所の横に」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)