蜜豆みつまめ)” の例文
「この節私もあまり景気はよくないがね、まだお神に小遣こづかいをせびるほど零落おちぶれはしないよ。みんなに蜜豆みつまめをおごるくらいの金はあるよ。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
あれは全く尋常小学を出てから、浪花節なにわぶしを聴いたり、蜜豆みつまめを食べたり、男を追っかけたりばかりしていた、そのせいに違いない。こうお君さんは確信している。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
電気をつけて、みんなで阿弥陀あみだを引いた。私は四銭。女達はアスパラガスのように、ドロドロと白粉おしろいをつけかけたまま皆だらしなく寝そべって蜜豆みつまめを食べている。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
「お父さん、とにかくおでんと蜜豆みつまめがいただけますね」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
あの、蜜豆みつまめとした処なんか、棒を引いたんですってね。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「父さん、蜜豆みつまめ——」
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
座敷では意地汚く食べ物に手を出すのが禁物である限り、ひもじいのが当然であり、彼女は日に二度も梅園の暖簾のれんをくぐり、蜜豆みつまめやぜんざい、いそべ焼などをたらふく食べ
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
蜜豆みつまめよ」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
春次は銀子と風呂ふろからの帰りみち蜜豆みつまめをおごりながら言うのだった。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)