つつま)” の例文
実際、女は慥かにさういふたちの女だ。非常に根はつつましやかであるくせに、ヒヨツトした場合に突発的なイタヅラの出来る女だつた。
我が生活 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
恐れを知らず育てられた大貴族の郎女は、つつましく併しのどかに、御堂御堂を拝んで、岡の東塔に来たのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
式場の正面の、白い布でおおうたテーブルの上には免状やら賞品やらが高く積み上げられている。左右には白襟しろえりもんつきの子供の母達や教師たちがつつましやかに居並いならんでいる。
いちばんあとから小屋を出た男がつつましく番をしながら看病してゐた。おもてではがやがやみんながはなしてゐた。何でも善後策を協議してゐるか酒盛りをやってゐるらしかった。
税務署長の冒険 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
二人は神水みたらしで手を洗いその手をつつましく打ち合わせて病魔退散を祈るのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殊に足軽たちのつつましい態度や、いかにもひたむきなようすがかれを驚かせた。
薯粥 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
と、彼はつつましげに礼をした。
人外魔境:10 地軸二万哩 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
人猿達は私を守ってつつましやかに歩いて行く。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
つつましき木工のみ
山羊の歌 (新字旧仮名) / 中原中也(著)