藪睨やぶにらみ)” の例文
それなのにものの一間もがたがたと床を踏んだかと思うときびすをかえして大胆に私を藪睨やぶにらみして、英国人らしく鼻にいぼをつくって
孟買挿話 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
そこを藪睨やぶにらみに睨んで、ブラントを諷刺だとさえ云ったものがある。実はイブセンは大真面目である。大真面目で向上の一路を示している。悉皆しっかいか絶無か。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
村に武太ぶたさんと云う終始ニヤ/\笑って居る男がある。かみさんは藪睨やぶにらみで、気が少し変である。ピイ/\ごえで言う事が、余程馴れた者でなければ聞きとれぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
左の方に立っている女の一人が余を見た。それがむべき藪睨やぶにらみであった。日の目の乏しくって暮やすい室のうちで、この怪しい団体はこの怪しい音楽を奏して夢中である。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)