薬店やくてん)” の例文
ラサ府には三軒シナ人の薬店やくてんがあるけれども其宅その店が一番大きいので、そのあるじはまだ三十歳ぐらい、ごく人のよいかたで大層親切にしてくれた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
渋江保さんの話に、渋江氏の若党柴田清助の身元引請人利兵衛は、本町四丁目の薬店やくてん大坂屋の通番頭で、年給二十両であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「いやわたしは薬店やくてんから薬を買つて鱷に飲ませて、死なないやうにしますよ。」
あれは今だに取ってあるだろうノ、妹の縁家えんか堺屋さかいやと云う薬店やくてん出入でいりの菅野伊之助と云う一中節いっちゅうぶしの師匠とめいの若が不義をいたし、斯様かようなことが世間へ聞えてはならぬと云うので、大金を出して手を切った