英吉利人イギリスじん)” の例文
我我は盗賊、殺戮さつりく姦淫かんいん等に於ても、決して「黄金の島」を探しに来た西班牙人スペインじん葡萄牙人ポルトガルじん和蘭人オランダじん英吉利人イギリスじん等に劣らなかった。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
主婦は北の国に似合わしからぬ黒い髪と黒いひとみをもっていた。けれども言語は普通の英吉利人イギリスじんと少しも違ったところがない。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
英吉利人イギリスじんはかう云ふ毛並みの猫のことを鼈甲猫べっこうねこと云ふさうであるが、茶色の全身に鮮明な黒の斑点が行きわたつてゐて、つや/\と光つてゐるところは、成る程研いた鼈甲の表面に似てゐる。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「なるほどあの猿ならよく似合うね。いくら英吉利人イギリスじんが大きいたって、どうも君じゃ辻褄つじつまが合わな過ぎると思ったよ。——あの猿と来たらまたずいぶん矮小わいしょうだからな」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
驚いた事には、僕の知っている英吉利人イギリスじんさえ、紋附もんつきにセルの袴で、おうぎを前に控えている。Kの如き町家の子弟が結城紬ゆうきつむぎ二枚襲にまいがさねか何かで、納まっていたのは云うまでもない。
野呂松人形 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いったい英吉利人イギリスじんは詩を解する事のできない国民でね。そこへ行くと愛蘭土人アイヤランドじんはえらいものだ。はるかに高尚だ。——実際詩をあじわう事のできる君だの僕だのは幸福と云わなければならない。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「女にもいろいろありますか。」と英吉利人イギリスじんが云った。
野呂松人形 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)