良人うちの)” の例文
何だとさ、学校じゃあ、みんながもう良人うちのに、(ちょいとこさ)と謂う渾名あだなを附けて、蔭じゃあ、そうとほか言わないそうだよ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「あの、お前さんたち、感違えをしちゃあ困りますよ。あたしゃこの先のおたなのもので、あれ、あそこへ良人うちのが迎えに出てるじゃありませんか」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「やはり仁左衛門まつしまやにしとくなはれ、あの人やと良人うちのも知つてますよつてな……」
新学士に是非と云って、達引たてひきそうな朋輩はないか、とうるさく尋ねるような英吉に、いやなこった、良人うちのが手をいてものを言う大切なお嬢さんを、とお蔦はただそれだけでさえ引退ひっさがる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そやけど、わてはもう先のない身体からだだすやろ、冥途あのよ良人うちのに会うて、せがれ名前替なまへがへに誰に口上言うて貰ふたんやと訊かれた時、成駒屋はんやでは良人うちのが知りまへんやろ、あの人は一だい俳優やくしやだすよつて……。