)” の例文
屋根は崩れ縁はち、狐格子はなかば外れ、枯れ草落ち葉でその屋根も縁も、その本質の解らないまでに蔽われ埋ずめられ隠されていた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
半ばち果てた重病者達のうようよとした病室内の光景が思ひ描かれて、はやその方へ一歩を踏み出した自分を意識しなければならなかつた。
癩を病む青年達 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
この家と並んで同じような、二軒の廃屋が立っていて、これも雨戸がたててあり、縁などちてその縁の上まで、雑草が延びてかぶさっていた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あのやうに半ばちかかつた体を、咽喉に穴を穿つてまで生き度いのであらうかと、生の欲望の強さが呪はしくもまた浅ましくも思はれるのだつた。
癩を病む青年達 (新字旧仮名) / 北条民雄(著)
仔細に眺めたなら、その骸骨の足もとに、鞘のちた両刀が落ちているのを認めることが出来たろう。武士の骸骨である証拠であり、最後に犠牲になった伊丹東十郎の骸骨に相違なかった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)