はれ)” の例文
顔立もよく整って、格幅も見事ですが、恋に狂う型の人間によくある、ややふとじしの多血質で、はれっぽい眼、多い毛などが妙に人目につきます。
と、後に人の足音がするので、振向くと、それはお八重であつた。矢張桶をぶらぶら擔いで來るが、寢くたれ髮のしどけなさ、起きた許りではれぼつたくなつてゐるひとみさへ、殊更艶かしく見える。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
六十年配の洗練された老人の顏は、苦惱にゆがんで少しはれつぽく、首に深々と眞田紐さなだひもで絞めた跡が殘つて居りました。
と、後に人の足音がするので、振向くと、それはお八重であつた。矢張り桶をぶら/\担いで来るが、寝くたれ髪のしどけなさ、起きた許りではれぼつたくなつてゐる瞼さへ、殊更なまめかしく見える。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)