聖天しょうてん)” の例文
いや、今日のような退っ引きならない口とは違う。全く嫌疑さ。二個連れで生駒いこま聖天しょうてんさまへ参詣に出掛けたという嫌疑がかゝったのさ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
さて聖天しょうてん下の今戸橋いまどばしのところまで来ると、四辺あたりは一面の出水でみずで、最早もはや如何どうすることも出来ない、車屋と思ったが、あたりには、人の影もない、橋の上も一尺ばかり水が出て
今戸狐 (新字新仮名) / 小山内薫(著)
これ本邦慾張り連が子孫七代いかに落ちぶれても頓着とんじゃくせず、わが一代儲けさせたまえと祈って油餅を配り廻り、これを食った奴の身代皆自分方へ飛んでくるように願う歓喜天かんぎてんまた聖天しょうてんこれなり。
或いは聖天しょうてんを的にして、ただ単に祈る心は要するに、病気を直したい、息災延命で暮したい、女にはれられ、お金はたくさんもうかりますように——裸にしてしまえば要するに、そんなものだが
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)