老腹おいばら)” の例文
しかし、今に至っても、沙汰のないのは如何いかがしたものだ。拙者の考えでは、吾々に会わす顔がなく、逃亡したか、でなければ、老腹おいばら
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まだ少年の頃、老臣の平手中務政秀ひらてなかつかさまさひでは、手にもおえぬ少年信長をいさめるため、老腹おいばらを切って死んだ。——信長の父信秀から
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見事に老腹おいばらを掻ッ切っているではないか。くれないの腹巻をくとともに、さすがに気丈な与三左衛門も鬢色びんしょくに死をあらわして
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もし、それに相違ある時は、郁次郎のみか、父たるこの江漢も、老腹おいばらを掻きさばいて、天下に罪を謝す覚悟。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老腹おいばらでも断ち割ってみせたら、八十三郎も、庄次郎も、よもや、こうもならなかったであろう」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
各〻のお手数てかずは待たぬ。郁次郎めが刑刀のさびとなる時刻に、わしも、どこかで老腹おいばら
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)