緋鹿ひか)” の例文
くるくると解いたお半の扱帯、同じ緋鹿ひか子絞こしぼりを、自分の手で土蔵の窓からサッと、外へ投げかけました。
彼女は緋鹿ひかの子の帯揚おびあげが胸のところにこぼれているのを見つけだすと、あわてたように帯の間にたくしこんで、胸をかたく合せた。藤紫の半襟が、なるべく隠れるように襟元をつめた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
(不思議なことには、その容貌が、髪の色を除くと、額の持主の老人にそのままなばかりか、着ている洋服の仕立方までそっくりであった)緋鹿ひか振袖ふりそでに、黒繻子の帯の映りのよい十七八の
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
くる/\と解いたお半の扱帶、同じ緋鹿ひか子絞こしぼりを、自分の手で土藏の窓からサツと、外へ投げかけました。
髮形をすつかり堅氣の娘風にしたお靜の後姿——ぢやうあはせ緋鹿ひかの子おびが、唐花屋の暖簾のれんをくゞつて見えなくなつた時は、大日坂だいにちざかの下から遠く樣子を見て居た錢形の平次も
驚いたな、どうも、先刻さっき子供達が河岸っ縁でつかまえて、自身番へ持って来ましたよ。緋鹿ひかの結綿で足を縛られて、その上くしを差し込んであるんだから、どんな烏だって飛びやしません。