綱条つなえだ)” の例文
身こそ西山せいざん退しりぞいて、藩政の一切を、嫡子の綱条つなえだや重臣たちに委しているが、決して、その自覚からのがれているわけではなかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
祖先が、水戸黄門光圀の兄の頼重よりしげで、光圀が後年伯夷叔斉はくいしゅくせいの伝を読み、兄を越えて家を継いだことを後悔し、頼重の子綱条つなえだを養って子とし、自分の子鶴松を高松に送って、嗣子たらしめた。
仇討禁止令 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
光圀は二男たる自分が家を継いだことに非常な慚愧ざんきを感じ自分の嗣子には高松の松平を継がせ、水戸家三代には兄の子を迎えた、これが綱条つなえだである。綱条の跡を継いだのも高松の頼豊の子だった。
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しかし、間もなくその紋太夫は、主君綱条つなえだして、これへ見えた。——わが子ながら綱条は当主である、老公は席を分けて、上座じょうざを与えた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして炉ばたで、半刻も家族のものと話しこみ、後、藩主の綱条つなえだへ書を送って、褒賞あるよううながしたということである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)