紿あざむ)” の例文
これはその先祖途中で狼にわれんとした時、われに差し迫った用事あり、それさえ済まば必ず汝に身を与うべしと紿あざむいてそのまま打ち過ぎしを忘れず
行長等は紿あざむかれるとは知らないから大いに喜んで待って居たが、其時は李如松四万三千の人馬が、鴨緑江を圧して、義州に集中しつつあったのである。全軍を三つに分ち、左脇ひだりわき、中脇、右脇と呼んだ。
碧蹄館の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
また予の乾児こぶんに兎糞を乾かして硬くなったのを数珠に造りトウフンと名づけて、田辺湾の名物で只今絶滅した彎珠の数珠に代えて順礼等を紿あざむき売った者がある
さてこそ魔物と一同震慄した。シマンタムバ常に一大鶏をい、その鳴く声と時刻を考え、事ごとに成敗を知ったと聞くが、それも無効と見えてソグノ伯に紿あざむき殺された。
汝は前になって軽い根本の方をかつげ、われは後にあって重い末の方を持って遣ろうと紿あざむいて
ハクストハウセン説に、トランスカウカシア辺で伝えたは、蛇中にも貴族ありて人に見られずに二十五歳れば竜となり、諸多の動物や人を紿あざむき殺すためその頭を何にでも変じ得。
大清一統志だいしんいっとうし』九七に、山東省の米山は相伝う斉桓公かんこうここに土を積んで虚糧うそのかてし、敵を紿あざむいたとあるを見て似た話と思い居る内、同書三〇六に雲南の尋甸州の西なる米花洗馬山は
またいわく、老蛇体に長毛あるは、その頭に玉あり、その色虹を紿あざむく、その蛇夜これを取り出し、道を照らして食をもとむ。深い藪中に棲み人家に近づかず、神の下属てしたなれば神蛇デブア・サールバと名づく。
前に述べた亀が諸獣を紿あざむいた話に似たのはわが邦にも『古事記』に因幡いなば素兎しろうさぎわにを欺き海を渡った話がある、この話の類譚や起原は正月十五日か二月一日の『日本及日本人』で説くつもりである。