素破すっぱ)” の例文
とにかくいろいろのことがあるのだけれども、それはそのうち都合のよい時、自分で素破すっぱ抜くことにして、ここでは言わないことにする。
私の子供時分 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
「ふう、これでやっと落着いた。金博士も、ひどいところを素破すっぱぬいて、よろこんでいるんだねえ。宿敵艦隊しゅくてきかんたいの一件が、あそこで曝露ばくろするとは、思っていなかった」
浪人が腰の物を素破すっぱ抜いて、斬ろうともせず、突こうともせず柄頭つかがしらで喰らわしたのを眉間へ受けて、遊び人ふうの人間が、往来のはずれへケシ飛んだのである。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その話はもう四、五年前のことであったけれど、今向きつけて女主人からこちらの秘密にしていたことを素破すっぱ抜かれては、早速何といってよいか言葉に窮した。
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
向島はこのごろ酔っ払いの浪人の素破すっぱ抜きが多いというから、すこし遠くっても飛鳥山の方がよかろうというので、子供たちや何かで三十人ばかりは揃ったんですが
半七捕物帳:40 異人の首 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そう云う場合には、お島はいつも荒れ馬のように暴れて、ッぴどく男の手顔を引かくか、さもなければ人前でそれを素破すっぱぬいてはじをかかせるかして、自らよろこばなければ止まなかった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
常陸ひたちの宮の春の月の暗かった夜の話も、そのほかの互いの情事の素破すっぱ抜きもした。長く語っているうちにそうした話は皆影をひそめてしまって、人生の寂しさを言う源氏は泣きなどもした。
源氏物語:09 葵 (新字新仮名) / 紫式部(著)
「こう素破すっぱ抜かれたら、少しは顔でも赤くするが宜い、——私を嫁にするとかなんとか、宜い加減な嬉しがらせを言って、父さんの仕事場に入り込み、大事の機構を盗んで逃げ出したのは誰だえ」
天保の飛行術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「大きにすまなかったね、みんなの前で素破すっぱぬいたり何かして。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ちゃんと綺麗に素破すっぱ抜かれている。
人を呪わば (新字新仮名) / 国枝史郎(著)