紅唇くち)” の例文
そして明るいと小気味よい鼻は静観の美であり、かすかに開かれた紅唇くちから覗く、光さえ浮んだ皓歯こうしは、観客の心臓を他愛もなくえぐるのだ。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
源吉は、しっとりとした重みを胸に受け、彼女の血にあふれた紅唇くちに、吸い寄せられた時、彼の脳のひだ何処どこを捜しても「轢殺の苦」なぞは、まるでなかった。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
その瞬間、黒吉の頭には、衣裳部屋で、葉子が忙しそうにこの煎餅をくわえていた光景と、それにつづいてクロオズアップされた、彼女の、あの可愛い紅唇くちとが、アリアリと浮んだ。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
彼は、葉子の、可愛いい紅唇くちを憶い出した。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)