ほしいい)” の例文
諸将僚もこれにうなずいた。全軍の将卒に各二升のほしいいと一個の冰片ひょうへんとがわかたれ、遮二無二しゃにむに遮虜鄣しゃりょしょうに向かって走るべき旨がふくめられた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
石のかまどに備えつけのなべで持って来たほしいいをもどし、干味噌をまぜた雑炊を作ってべた。そしてひと休みするとすぐにまた出発した。
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
浅草観音寺内にしたほしいいを踏み散らし、寺家輩と争論となる、常陸衆、観音の眷属たる馬が観音の僧衆の料を踏んだればとて、咎め立てなるまじと遣り込め閉口せしめたと出づ。
ほしいいのような挽割飯を二口三口食うたばかりでまた取調所に引出され、午前十時頃でもあったろうか、十五六人のものどもと一しょに二台の馬車に乗せられて、今度は巣鴨監獄へと送られた。
獄中生活 (新字新仮名) / 堺利彦(著)
と、たいせつなほしいいをひとにぎり、朝月の口へ入れてやった。ところへ、清兵衛せいべえち取った、明兵みんぺいの馬と着ていたよろいをかついで、味方は引きあげてきた。見るとそのよろい雑兵ざっぴょうの着るものではなかった。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)