しとぎ)” の例文
今日山に入らず、明日山に入らずとも、幸ひ持ちし割子を、一神の君に参らせん。かしきのうごく、白きしとぎの物をきこしめせとてさゝげ奉る。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
しとぎ祝ふて下されにけり 素男
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
とにかくに是にって、且つ糯米の利用によって、しとぎで物の姿を作る必要は半減した。従うてまた手杵と舂女つきめとはまったくひまになったのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
仮にその想像が半分でもあたっているとすると、しとぎが我々のはれの食物として、えらまれた理由はほぼわかるのである。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
すなわちしとぎ藁苞わらづとに包んで、高い木のこずえに引掛けておき、烏が来て持って行くことを念ずるのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
餅でもしとぎでもまた豆腐でも、珍しいからうまくおいしく、またなるべくうまくしようと親たちは努力することにもなったろうが、それはいわゆる口腹の欲を満たそうがために
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
(白餅というのは神に供えるしとぎのことで、なまの粉を水でかためただけのものである。)
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
こうなれば生のしとぎを神様だけに上げるのが、むしろまた一つの疑問になろうも知れぬ。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
神のしとぎも祭の日の米の飯も、これが最第一の資料だというばかりではなかった。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それから今一つはもちのうまさ、及びその形と色艶いろつやのよいことで、これもまた横杵よこぎね大臼おおうすが使用せられる時になって、始めて今までの水に浸した米の粉のしとぎに、代ることが出来たものである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これはある御社または御堂へ例年団子を供える入費を弁ずるためもしくはそこの田の米を使うように予定せられていた公共用地であった。団子というのはしとぎすなわち白餅のことだろうと思う。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)