箱梯子はこばしご)” の例文
招かれて行った吉左衛門は、一風呂よばれたあとのさっぱりとした心持ちで、広い炉ばたの片すみから二階への箱梯子はこばしごを登った。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その理由はただに男女相思の艶態に恍惚たるがためのみにあらず、人物と調和せるその背景が常に清洒せいしゃなる小家こいえ内外ないがいを描き、格子戸こうしど小庭こにわ欞子窓れんじまどよりまくら屏風びょうぶ長火鉢ながひばち箱梯子はこばしごかまど等に至るまで
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
夕飯と入浴とをすました後、伊之助は峠の組頭が置いて行った例の軸物を抱いて、広い囲炉裏ばたの片すみから二階への箱梯子はこばしごを登った。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
三吉もその後から、この家の母親が坐っている部屋を横に見て、高い壁に添うて、箱梯子はこばしごを上った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
階下したから箱梯子はこばしごを登って、二間つづきの二階に寝ている伊之助を見に来たのは、妻のおとみだ。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)