箇処かしょ)” の例文
旧字:箇處
そこには二三箇処かしょにヤッチャがあってそれぞれ人を集めていた。政雄の目についたのはシャツを売る店であった。シャツ売の商人は、大きな声でわめいていた。
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
例へば奈良一箇処かしょにつきていはんに、春日かすが社、廻廊の燈籠、若草山、南大門、興福寺、衣掛柳きぬかけやなぎ、二月堂等は最も春に適し、三笠山のつづき、または春日社内より手向山たむけやま近辺の木立こだち
俳諧大要 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
その小径には中程に一箇処かしょ、あがりきった処に一箇処の街燈があった。務の頭の中は死を追う焦慮と、妻子をのこして死んで往く悲しみと、脚下あしもとをすくわれたような恨みで混乱していた。
白っぽい洋服 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)