竹煮草たけにぐさ)” の例文
風が来ると噴水が乱れ、白樺が細かくそよぎ竹煮草たけにぐさが大きく揺れる。ともかくもここのながめは立体的である。
軽井沢 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
窓外の一本太い竹煮草たけにぐさの広葉に当った夕陽から来るものらしかった。かの女はそのきろきろする斑点を意固地いこじに見据えて、ついでに肖像画の全貌ぜんぼうをも眺め取った。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
尾花だの、かやだのの中に、竹煮草たけにぐさとか、ごまめ菊とかいったような雑草がすがれている。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
竹煮草たけにぐさにしろくふくこの日でり堪ふべしや我もかへりみなむとす
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
竹煮草たけにぐさの森のような茂みの傍を通り、仄白い野菊の一ぱい咲いている野原の一片が眼に残り、やがて薄荷草はっかそうがくんくん匂って里近くなって来た往還で、かの女はタクシーを拾って
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)