端切はぎ)” の例文
そこには華手はでなモスリンの端切はぎれが乱雲の中に現われたにじのようにしっとり朝露にしめったままきたない馬力の上にしまい忘られていた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
彼女はただお礼を述べるだけでは満足しない。何か、ちょっとしたもの、なんでもない、レースの端切はぎれとか、まあそういった、眼だけ使って、懐を痛めないものを置いて来るのである。
がかげる頃に彼れは居酒屋を出て反物屋たんものやによって華手はでなモスリンの端切はぎれを買った。またビールの小瓶こびんを三本と油糟あぶらかすとを馬車に積んだ。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)