童僕わっぱ)” の例文
「ありませんかの」と嘲侮ちょうぶをふくめて「もし御用のときは、童僕わっぱの金若をお召しなされ。彼方の鈴縄すずなわを引けば、すぐ下の木戸から兵どもが登ってまいろう」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
水をみ、使いに走る童僕わっぱまでがそれを習うようにいたって、この古館ふるやかたは何か、燦然さんぜんたる和楽につつまれているかのように、他人からもうらやましく見えるのであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それだけに気を奪われ、その一とき、廉子が童僕わっぱの金若の肩を抱くようにして、彼にささやいていた姿などは、誰も見ていないし、またそこは見えないような暗がりだった。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
粗末な後架こうかを出て、濡れ縁の端の掛樋かけひへ寄って行かれると十四、五歳の童僕わっぱが、下にいて
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)