“窃(こっ)” の例文
旧字:竊
運ばれる屍骸の後を追って私は屠牛小屋へ行って、窃(こっ)そりと牛の腹を裂いたのでございます。
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
主人の帰りとは私にも覚(さと)れたから、急いで起(た)ち上って……窃(こっ)そり窓から覗いて見た。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
廊下へ出て耳を澄して見たが、三味線(さみせん)は聞えても、矢張(やっぱり)歌が能く聞えない。が、愈(いよいよ)例のに違いないから、私は意を決して裏梯子(うらばしご)を降りて、大廻りをして、窃(こっ)そり台所近くへ来て見ると、誰(たれ)も居ない。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)