おと)” の例文
がんどう返しのおとあなちた、お綱の身をしちにとって、その交換条件に、得意なものをかせとは、一体なんのことかしら? ……と旅川の顔をみつめ返した。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武蔵を討つのに、尋常にかかっては敗れる、猛獣はわなおとしてるしかないように、奇策を用いねばまたいたされますぞ。その辺のこと、十分、敵をてお考えなされておるかの
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あいつのは、幕府を売り、父を殺し、知己親戚をおとし入れ、罪きにもあたいする。貴様の破廉恥はれんちとは、同じ武士道はずれでも、けたが違う。幕臣として俺はあの異端者を斬りに来たのだ。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)