空声からごえ)” の例文
一旦退いた討手の勢はそれと見るより引っ返して再び門に迫ったが左右そうなく討ち入る事もせず同じ場所にたむろして空声からごえばかりを上げるのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ややしばらくしてから度胆どぎもを抜かれた空声からごえ筒抜つつぬかせたが、助同心の岡村、突然
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近づけば近づく程、敵が舟底に身を伏せているものと、疑心はさらに暗鬼を生んで、なぎさへ寄るとも躍りこむ者はなく、出ろ、自滅しろ、姿を出せ、と両岸から、空声からごえばかりで影を追う。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)