稗飯ひえめし)” の例文
些し困るのぢや、私は神樣に使はれる身分で、何も食物の事など構はんのぢやが、稗飯ひえめしでも構はんによつて、もつと安く泊める家があるまいかな。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
茂助は、さっそく稗飯ひえめしき、味噌梅干など添えて、自分とも、十人分ほどの弁当を作った。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
麦飯もよし稗飯ひえめしも辞退せず
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
蜘蛛六に肩を揉ませながら、猿のほうを見ると、猿は、朝の稗飯ひえめしを食べてしまうと、例の如く独りだけ隅ッこにいて、達磨だるまのまねをしている。いるのだか、いないのだか分らない。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わしは神様に使はれる身分で、何も食物の事など構はんのぢやが、稗飯ひえめしでも構はんによつて、モツト安く泊めるうちがあるまいかな。奈何だらうな、重兵衛さん、わし貴方あんた一人が手頼たよりぢやが……
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
灯と、温かい稗飯ひえめしがほしかった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)