秋篠あきしの)” の例文
生駒山の遠くから、高安、平野、秋篠あきしのノ丘、浜へかけては堺の方まで、無数の赤い蛍火ほたるびといっていい遠篝とおかがりが見えたのだった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、※としておいても、この話は有名なもので、秋篠あきしのの助太刀と共に遊女武勇伝として双璧とすべきものである。
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
それを取り逃がした暁には、自分から恥じて二度と再び主人のこぶしへは帰らない。そこがあの鳥の価値ねうちなのだ。久しく飼い慣らしたあの秋篠あきしのも二度とは帰って参るまい。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
秋篠あきしのはげんげのあぜに仏かな
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
みやこほとりの秋篠あきしの
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
天王寺を遠く囲繞いにょうして、秋篠あきしのの郷や外山とやまの里や、生駒の嶽や志城津しぎつの浜や、住吉や難波の浦々に——即ち大和、河内、紀伊の、山々谷々浦々に、かがりや松明がおびただしく焚かれ
赤坂城の謀略 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
都ほとりの秋篠あきしの
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
腹心の老女秋篠あきしのと、これも同じく腹心で、醜婦と大力とで名を取っていた荻ノ江という腰元と、同じく腹心で剽軽者ひょうきんもので、軽口の上手な花車、——以上四人が鳰鳥の前へズラリと一列に並んでいたが
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)