禿茶瓶はげちゃびん)” の例文
「今夜は一つ、先生に白黒をつけておもらいしてえと思いやしてね。この禿茶瓶はげちゃびんが、しゃくに触わってたまらねえんだ。ヤイッ! 前へ出ろ、前へ!」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
五十近い番頭は、見事な禿茶瓶はげちゃびんですが、好奇心だけはまだ衰えを見せぬらしく、首のあたりをもそもそと掻きながらも、ことごとく恐れ入っております。
ところが、ゴイゴロフのほうは、ひどく乗気になって、じつは、ちょっとした経緯いきさつがあって、おまえのようなもっともらしい顔をした禿茶瓶はげちゃびん相棒コバンがひとり欲しかったんだ。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
広い台所に立って、一々応対をしている六十余りの禿茶瓶はげちゃびんが、その筆屋幸兵衛だ。首の廻りに茶色の絹を巻いて、今日だけは奥と台所をいったり来たり、一人で采配さいはいふるってる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
浅田屋の禿茶瓶はげちゃびんだ、——そいつは面白い、日本橋の欄干を逆立ちして渡るのは、江戸開府以来の見物だろう、その言い草を忘れるな、と引取って行ったのは先月の末だ、それから無事に月を越したが