破傘やぶれがさ)” の例文
「もうどうぞ、一本の破傘やぶれがさのために、毎日そんなことをしていただいては、すみません、今日はすぐ帰りますから、傘が返っているならいただきます」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
古本屋は、今日この平吉のうちに来る時通った、確か、あの湯屋ゆやから四、五軒手前にあったと思う。四辻よつつじく時分に、祖母としより破傘やぶれがさをすぼめると、あおく光って、ふたを払ったように月が出る。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)