砂烟すなけぶり)” の例文
折から堤防伝つつみづたいにひづめの音、一人砂烟すなけぶりを立てて、ななめに小さく、くうを駆けるかと見る見る近づき、懸茶屋かけぢゃやの彼方から歩をゆるめて、悠然と打って来た。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ヒュウと悲しい音を立てて、空風からかぜが吹いて通る。跡からカラカラに乾いた往来の中央まんなかを、砂烟すなけぶりぼっと力のない渦を巻いて、よじれてひょろひょろと行く。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)