短尺たんざく)” の例文
取残されたる叔父のかなしみ、なかなかにいい尽すべくもあらず。小林蹴月こばやししゅうげつ君も訃音ふいんにおどろかされて駈け付け、左の短尺たんざくを霊前に供えられる。
乞食こつじきのやうなるすがたには似気にげなきことばのおぼつかなしと思ひながら、短尺たんざくすゞりばこいだしければ
五色ごしきにいろどられた色紙いろがみ短尺たんざくが夜風にゆるくながれているのは、いつもの七夕の夜と変らなかったが、今年は残暑が強いので、それは姿ばかりの秋であった。
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
乞食こつじきのやうなるすがたには似気にげなきことばのおぼつかなしと思ひながら、短尺たんざくすゞりばこいだしければ
これは普通の色紙しきしでなく、その時節にかぎって市中の紙屋で売っている薄い短尺たんざく型のやすい紙きれであるが、この時にも大きい子供はほんとうの色紙や短尺に書くのもある。
半七捕物帳:35 半七先生 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)